江戸時代、鍼を行う医師は「鍼医」と呼ばれ、外科医と同等かそれ以上の身分だった。
一方、灸は自分でできる予防医学として各家庭に浸透していた。
庶民はまず灸やあん摩、または富山の薬売りが配る配置薬や常備薬で養生し、病が重くなれば鍼医を始め、外科医、内科医などの医者を頼り、最後には祈祷師にすがった。
病気の原因を祟りと考えたこの時代では、祈祷師は今で言うホスピスケアのような役割を担っていた。
現在とは医療システムはもちろん、健康観そのものが大きく違う江戸時代だった。